ベビースリングについて 日本でベビースリングがここまで使用されるようになったのはこの10年の事です。ずっと以前の日本では、おんぶ紐を使って育児家事をしていましたが、近代ではベビーカーや多種多様な抱っこ紐の開発で昔からあったおんぶ紐のような密着した抱っこツールは少なくなっていました。 ベビースリングが日本で広がるきっかけになったのは、シアーズ博士の書かれた「シアーズ博士夫妻のベビーブック」で提唱された『アタッチメント・ペアレンティング』です。赤ちゃんとママとのスキンシップやコミュニケーションを再確認する動きも手伝い、わずか数年でベビースリングは育児アイテムとして定番化されました。 ベビースリングは、母体から切り離された赤ちゃんを優しく包み込む空間を作り出すことから第二の子宮と呼ばれています。ベビースリングの中で安心しきって眠る赤ちゃん、それはおなかの中にいた頃のような、ママの温かさ・ママの鼓動を感じるからなのです。 そして、ママにとっては3本目の腕。 赤ちゃんをしっかり胸元に抱き寄せる形、それがスリング抱っこのお手本です。 「ママがその2本の腕で包み込んで抱きしめる」安全なスリング抱っこは、ママの素手での抱っこからスタートするのです。素手での抱っこをスリングで再現する。その時、スリングはあなたの『3本目の腕』となるのです。 スリングは肩だけでなく背中全体で赤ちゃんの体重を支えて使用しますので、個人差はありますが、肩や腰への負担が軽減されます。素手で何十分と抱っこをするよりもスリングを使用して抱っこをする方が身体への負担は少なく疲れにくいのですが、長時間使用しても負担が全くないわけではありません。長時間の外出などで、スリングの使用時間が長くなる場合は自分自身の体を労わるためにも休憩は必ず取るようにしてください。 赤ちゃんは子宮の中で丸い姿勢を保ちながら成長し、誕生してからゆっくりと時間をかけて脊椎に自然なS字カーブが出来ていきます。首座りの頃に頚椎のカーブができ、歩きだす頃に腰椎のそりができます。しかし出生後すぐに平らなところに寝かされてばかりいると本来はS字状に湾曲するべき脊椎が、まっすぐに伸びていくと懸念される声もあります。自然な丸い姿勢で抱っこするベビースリングは赤ちゃんの発達を助ける抱き方が可能になるのです。 市販の抱っこ紐などについては、懸念される声はあまり耳にしないのですが、実際には股の部分に体重がかかる構造になっていて、赤ちゃんへの体の負担は大きいと考えられています。どちらを使用するにしても、赤ちゃんへの体の負担を予め考えるようにし、無理のない使用をするのが一番大事だと思います。 抱っこに上手下手があるの?と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。抱っこにも上手下手が実はあります。ママは、やはり毎日何時間も赤ちゃんと一緒にいるので自然に抱っこが身についてきます。ごく自然に巧く出来るようになる方もいらっしゃれば、おばあちゃん世代の抱き方を見て、また助産師や看護師に習って出来るようになる方もいらっしゃいます。もちろん初めから上手に抱ける人もいらっしゃいますが、初めてのお子さんの場合ぎこちなく抱っこしている方が多いように思います。 ベビースリングを『魔法の抱っこ紐!』『赤ちゃんがすぐ泣きやんだ!』という声もありますが、実際はどうでしょうか? どうしてスリングで赤ちゃんが泣きやむのか、そして眠るのか・・それはママとのコミュニケーションにあります。ママが不安を抱えたまま赤ちゃんに接する場合、どうしてもママの不安が赤ちゃんにも伝わります。講習会で、たくさんの赤ちゃんとママと出会ってきましたが、初めてスリングを使うママはドキドキ・不安で・・そんなママの気持ちを感じて赤ちゃんが 『ウェーン!!』と泣き出す。すると他の赤ちゃんにも『泣き』が連鎖して泣き出す・・・なんていうことがあります。 まずは、ママがリラックスしましょう。そして赤ちゃんの様子をよく見てみましょう。わからなくても大丈夫です。落ち着いて、一つずつ「お腹すいたかな?おむつ濡れちゃったかな?」と、赤ちゃんに声をかけて下さい。もしかすると、抱っこしてほしくて泣いているのかもしれません。 赤ちゃんが泣きだすのには理由があります。お腹がすいている、眠たい、おむつが濡れている、甘えたい…など。だから、泣き出してもあわてないでください。眠たい・甘えたい・・の場合スリングでゆったりと抱っこしてあげると徐々に落ち着いていきます。けれど、おむつが濡れている・お腹がすいた・・などの生理的な要因で泣いている場合スリングで抱っこしても泣きやみません。まず、泣いている原因を解消してあげましょう。 »スリングのページに戻る |